VTI(バンガード・トータルストック・マーケットETF)は米国上場企業のほぼ100%に投資できるETFで、経費率の驚くべき安さとパフォーマンスの良さで米国株投資家に大人気です。
米国企業の成長性や国力から考えて、米国に賭けるのは必然であり、米国をまるごと買えるETFは魅力的です。
そんな優良ETFに投資できる投資信託として、楽天投資投信顧問の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」があります。2017年9月に設定されました。
個人投資家としては
「で、どっちに投資した方がメリットあるの?」
という疑問が出てくると思いますので、今回は本家VTIと楽天VTIを比較検討しました。
先に結論を言ってしまうと、VTIはスポットで投資、楽天VTFは積み立て投資でメリットを享受できると思います。
要は自分自身の投資スタンスによって選んだら良いということですね。
<目次>
VTIと楽天VTIの比較
比較結果を一覧化すると次のとおりです。
①購入手数料
VTIは各証券会社で定められている外国株取引にかかる手数料が発生し、ネット証券の場合は約定金額の0.45%(最低5ドル~最高20ドル)で横並びです。
そのほか、VTIはドル建てで買い付けるため円を米ドルに替える為替手数料も発生します。
かたや楽天VTIはノーロードのため購入手数料はゼロです。
円で投資するため為替手数料もゼロです。
②経費率・信託報酬
経費率は、ETFの保有額に対して発生する手数料のことで、投資信託の信託報酬と同じものです。
ここではVTIが圧勝ですね。4倍差があります。
バンガードは、ブラックロックやステート・ストリートとETF市場でライバル関係にあり、3社は競って経費率を下げてきました。
そしてVTIは経費率を0.04%から0.03%に引き下げることになっています(楽天VTIも下げると思われます)。
バンガード・インベストメント・ジャパンのHPでは、2019年4月11日現在、未だ0.04%のままでしたが、SBI証券は0.03%の表示になっています(早いw)。
③購入タイミング
ETFは取引時間中に自分の好きな価格で発注できますが、投資信託の基準価格が決まるのは1日1回のため、自分がいくらで売買できるか発注時には分かりません。
そういった点ではETFは機動的な売買が可能ということになります。
④分配金に対する課税タイミングが違う
分配金・配当金の再投資は効率的に資産を増やせる手法です。
ETFの場合は分配金と呼ばれますが配当金と同義です。
VTIの場合は、分配金は米ドルで口座に入金されます。その際に米国で10%分と国内で20.315%分が源泉徴収税として差し引かれてしまいます。
その点、楽天VTIは国内における分配金の源泉徴収税分が徴収されません(米国では課税されます)。
投資信託を売却した際に利益があればもちろん課税されますが、それまで税金を将来に繰り延べることが可能です。
これによって、分配金を効率的に投資に回せるため、資産の増加速度が高まります。
⑤カストック
カストックとはSBI証券における外国株の貸株サービスのことです。
カストックに申し込んでおけば、自動的に自分の保有株が貸し出され、わずかながら貸株金利が入ってきます。
VTIの場合は年率0.01%ほどです。
どっちに投資したらいいのか?
VTIと楽天VTIのどちらにも良い面がありますが、どちらに投資するかは自分の投資方法から考えてみるのも一つの手です。
VTIはまとまった額でスポット投資
VTIは、購入手数料を抑えるためにはある程度まとまった金額で投資する必要があるため、少額での売買には向いていません。
具体的には、上記の手数料(約定金額の0.45%で最低5ドル)に負けないように買うためには、1,112ドル以上(≒5ドル÷0.45%)のVTIをまとめて買う必要があります。
分配金の再投資を効率よく行うためには、多くの分配金をもらわないとうまく回せないため、自ずと多くの種銭も必要になってきます。
しかし、取引時間中に自分の任意の価格で機動的に売買できることと、安い経費率が魅力的です。
突発的な急落など「ここぞ」という時にガツンと投資する時に使いたいと思います。
楽天VTIはつみたて投資で
信託報酬は本家VTIの4倍ですが、購入手数料ゼロの恩恵を活用して、細かく積み立てることが可能です。
ネット証券のサービスでは積み立て日を「毎日」に設定することができ、究極的に購入単価の平準化ができます。
これをETFでやろうとするのは、手数料がかかって仕方ないためやめておいた方がよいですね。
ほったらかしに向いている
また、投資信託の場合は、一度投資額と買付日さえ設定してしまえば、あとは勝手に投資してくれるので、仕事や家事などで投資に時間をとれない人に向いています。
これに加えて、100円から投資できるため資金が十分にない人にも向いています。VTIの価格は約140ドル(15千円)であり、それに比べると投資のハードルは低いですよね。
自分の場合は
ちなみに私はVTIと楽天VTIのどちらにも投資しています。楽天VTIの毎日積み立てをベースに、大きく動きがあった時はVTIを使う、といった感じです。
楽天VTIをベースにしているのは、投資額が少額でも分配金再投資と課税繰り延べのメリットが享受できることと、ほったらかし投資ができるからです。
つみたてNISA、iDeCoでもメインの投資先にしています。
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今後については、バンガードが日本で投資信託の直販をするというニュースもあり、この先も現在と同じ形で楽天VTIが続くかどうかは分かりませんが、信託報酬のダウンなど、個人投資家にとってメリットをもたらしてくれるのを期待しています。
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楽天VTIをコツコツと積み立てていけば、初心者でもゆっくりですが、安定的に資産を増やすことができます。
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