新聞やマネー雑誌を読んでいると、よく「外国人投資家が買い越しに転換!」とか「日経先物のプットオプションを大量買っている模様!」など、外国人投資家の動向が目に入ってきます。
東京市場の売買代金のおよそ7割程度が彼らが運用したものなので、それだけ影響力が大きく、日本株の方向性を左右する存在となっています。
もう牛耳られていると言ってもいいですね。
「外国人投資家」と一言で言っても、その中には様々な属性があります。
大きく4種類に区分できますが、各々、資産規模や考え方が全く違ってくるので、整理したいと思います。
<目次>
資産運用会社・投資信託
- 概要:個人投資家や企業、年金などから受託した資産を運用する。投資信託の設定や運用・管理を行う。
- 資金の属性:年金基金、保険基金、マスリテール資金 など
- 運用体制:世界に複数の拠点を展開しているケースが多い
- 投資スタイル:資金の属性や運用目的などによって異なる
- 運用期間:数年程度
- 主な機関投資家:Blackrock, Vanguard, Capital Group, Fidelity, Alliance Bernstein, Pictet, UBS GAM, など
政府系ファンド
- 概要:各国の政府が出資するファンド
- 資金の属性:外貨準備、石油税収、国家戦略資金 など
- 運用体制:重要判断は本国にて行うが、本国以外に複数のリサーチ拠点を構えるケースもある
- 投資スタイル:国によって千差万別。リスクをとって積極運用するケースや安全資産を中心に運用するケースなど。
- 運用期間:数年程度
- 主な機関投資家:Norges Bank, ADIA, GIC, Temasek など
年金基金
- 概要:年金制度にもとづいて年金を運用する法人
- 資金の属性:公共団体年金、企業年金 など
- 運用体制:外部に運用を委託しているケースが多い
- 投資スタイル:アクティブやクオンツ系が多いと見られる
- 運用期間:数年程度
- 主な機関投資家:TIAA CREF, CPP, TRA, ERS など
ヘッジファンド
- 概要:デリバティブなどの様々な手法を用いて「絶対収益」を追求する
- 資金の属性:年金基金、富裕層 など。資金がないと相手にしてもらえない。
- 運用体制:拠点数は少なく、多くても2~3拠点。少数精鋭で運用。
- 投資スタイル:ロング・ショート戦略、グローバル・マクロ戦略、クオンツ、マルチストラテジー
- 運用期間:超短期から長期まで様々
- 主な機関投資家:Soros, Indus Capital, Joho, Caxton, Tiger Global Fortress など
海外投資家の動向を確認するには?
東証のHPにて、「投資部門別 株式売買状況」を見ることで、東京市場における海外投資家の動向が分かります。
以下はその抜粋ですが、海外投資家の売り・買いの規模が分かります。
見てのとおり売買代金に占める比率が7割を超えています。
毎週第4営業日にHPに掲載されるので、チェックしてみてください。
⇒ リンク : 投資部門別売買状況 | 日本取引所グループ
以上のように、外国人投資家には様々な属性があります。
いずれも大きな資金量でもって日本のマーケットに生息しているので、この人たちには逆らわずに、出来れば追従したいところです。
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