2019年9月12日AM8時30分、ソフトバンクグループ(9984)の子会社であるヤフー(4689)が、ZOZO(3092)をTOBにて子会社化すると発表しました。
TOB価格は1株2,620円で、前日9月11日の終値2,166円に対して+20.96%(+454円)の上乗せです。
ニュースを受けて株価は急騰しましたが、9月12日の終値は2,457円でTOB価格に163円ほど届いていません。
はたして今から買って儲かるのでしょうか。
<目次>
ヤフーが買うのは50.10%まで
今回ヤフーがZOZOをTOBする理由は、ZOZOを連結子会社化することです。
そしてZOZOは引き続き上場を維持する方針のため、ヤフーは発行済株式総数の50.10%(152,952,900株)のみを買います。
また、既にZOZOの前澤友作社長(9/12退任)から92,726,600株(30.37%分)を買うことが決まっているため、他の投資家がTOBに応募できるのは60,226,700株(19.73%)となります。
買付上限株数を超えたらどうなる?
ヤフーが買い付ける50.10%を超える応募があった場合、応募者で按分されます。
要するに2,620円で買い取ってくれた株主は1株あたり16,300円の利益(9/12終値ベース))が出ますが、買い取ってくれない可能性もあるということです。
株価がTOB価格2,620円まで届いていない理由は、そういったところからです。
今からTOB狙いで買うのはリスクありますね。
親子上場は衰退する?そこに儲けあり?
ソフトバンクグループとヤフーのように、親会社と子会社が両社とも上場している状態を親子上場と呼びます。
TOBが成立した暁には、ZOZOも親子上場になるということですね。
さて、この親子上場は投資家から嫌われています。
例えば、親会社は子会社よりも強い立場であるため、親会社の都合で子会社は無理を押しつけられたり、または子会社が株主を差し置いて親会社の利益を優先する経営を行うことで、子会社株主は親会社よりも不利益を被る可能性があること(利益相反)などが指摘されています。
親子上場は減少傾向
野村資本総合研究所の調査で、2019年3月末時点の親子上場数は262社(前年比-1社)となっています。
グラフで見ると2006年度末をピークとして、年々減少していることが分かります。
これは企業自身も、企業価値向上のための施策の一つとして、さきほど述べた親会社と子会社株主による利益相反問題の是正等を狙い、親子上場を廃止していることが挙げられます。
(親子上場は世界の市場から見ると特殊で、機関投資家は親子上場の廃止を強く要望してきます。親会社は親子上場の意義をきちんと株主に説明しないといけないというプレッシャーもあります。)
親子上場廃止を狙う?
親子上場廃止の方法の一つとして、上場子会社の全株式を、親会社がTOBにて買付けして完全子会社化するということが挙げられます。
もしかすると、将来的にZOZOの完全子会社化によるTOBで株価急騰というようなことも起こるかもしれませんね。
TOBを発表したばかりの今から、それを見越して買っておくというのはあまり現実的ではありませんが。
狙うなら別の親子上場会社ですね。
コーポレート・ガバナンス体制の強化が声高に叫ばれる昨今の状況では、まだ親子上場解消の流れは続くと見ています。