こんにちは、コーディーです。
2018年8月13日に、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)より「平成29年度 ESG活動報告」が公表されましたので、簡単にご紹介します。
<目次>
その前に、そもそもESG投資とは?
ESGは、Environment, Social, Governanceの頭文字をとっており、財務情報といった従来からの投資尺度だけでなく、環境、社会、ガバナンスなどの非財務情報も考慮しながら、収益を求める投資手法です。
GPIFは、2015年9月に責任投資原則(PRI)に署名して以降、ESGへの取組みを拡大しており、現在は運用資産額156兆円のうち1.5兆円をESG投資に充てています。
GPIFは基本的に、ポジティブスクリーニングと呼ばれる、同業種の中でESG関連の評価が高い企業に投資する手法を採用しています。
GPIFのESG投資
報告書(P.19)にESG投資を行う目的が述べられています。
短期的な投資収益の追求ではなく、環境や社会問題などの負の外部性を最小化することを通じ、ポートフォリオの長期的リターンや金融市場全体の持続可能性を高めることを目的とする。
長期にわたって安定的にリターンを上げるには、投資先である各企業の価値が持続的に高まっていくことが重要です。その際、ESGに配慮して投資することで、環境問題や社会問題等の影響を最小化し、リターンを改善する効果が期待できるとされています。
GPIFは、ESG投資の効果が表れるまでに長い期間が必要と認識しています。そのため、リターンを得るまでの間、効果測定を行いながらPDCAサイクルを回すことが重要と考えており、その検証に繋げることを目的として、「ESG活動報告」がつくられました。
レポートは、三章構成となっています。よろしければチェックしてみてください。
- 第一章 これまでの取組み
- 第二章 ESG推進活動の効果測定
- 第三章 参考資料
日本のESG関連指数など
ESG投資が重要との声が増えてきたことにともない、日本では、様々なESG関連の指数等が設定されています。
ちょっと盛り上がった途端、バタバタと出てきた感がありますが、今後、これが浸透し、さらに発展していくかどうかは良くわかりません。
JPX日経インデックス400
⇒ROE、営業利益、純利益等に基づいて定量的なスコアリングを行った上で、IFRS適応等の定性情報を加味して400銘柄を選出。
売買代金や時価総額も選定ポイントであるため、必然的に大型株が中心となる。
JPX日経中小型指数
⇒JPX日経インデックス400の考え方を中小型株に採用し、時価総額上位20%未満の企業から200銘柄を選出。
健康経営銘柄
⇒従業員の健康管理に戦略的に取り組んでいる企業から約20銘柄を選定。
経産省が実施するアンケートに回答があった企業を、外部有識者委員会が策定した評価基準に基づいて評価し、財務指標のスクリーニングを行い選定される。
なでしこ銘柄
⇒女性活躍度調査の回答に基づいてスコアリングを行い、かつ、ROE8%以上等の財務指標によってスクリーニングをかけ、女性活躍推進に優れている企業として選出される。
企業価値向上表彰
⇒エクイティ・スプレッドや資本コスト等の財務指標などに関するアンケート等に基づき、有識者委員会が選出する。
ホワイト500
⇒経産省が2016年に創設した認証制度である「健康経営優良法人」に認定された規模の大きな企業等を指す。上場企業以外にも、健康組合などの保険者と連携して優良な健康経営を行っている大規模法人も対象となる。
少し古い情報ですが、シュローダー・インベストメント・マネジメントが2016年に公表したアンケート結果「シュローダー・グローバル投資家意識調査2016年」では、世界の個人投資家のうち、ミレニアル世代が他の世代に比べESGに関心が高かったという結果が出ています。
今後、さらに重要性が高まってくれば指数採用銘柄に投資が集中し、株価の上昇に期待できるかもしれません(しないかもですが・・・)。
ただ、ESG的な観点からは高い評価は得られなかったとしても、好業績を上げる企業はたくさんあります。
ESG投資に傾倒し過ぎてしまうと、スコアがそれほど高くないが好業績企業への投資機会を自ら逃すことになり、かえってリターンは落ちる可能性もあることを忘れないようにしておきたいです。
そういった意味からESGが投資の本流となるには未だ時間がかかりそうです。
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みさき投資は企業とエンゲージメントを重ね、企業価値と株価を上げる手法を取っています。